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愛媛大学医学部長 満田憲昭先生

医学部進路の決め方

Q1.愛媛大学 医学部の特色(特に良い点)を教えて下さい。

愛媛大学医学部は、高度な医療の普及を目指して1970年代に設置された34の新設医学部・医科大学の一つとして、1973年に設立されました。これまでに約3,800名の医師を輩出しています。初期の卒業生は今や全国各地で医学・医療のリーダーとして活躍しています。また今では,多数の卒業生が母校で教鞭をとり,後進の育成を担当しています。数年前にようやく、わが校の卒業生数が愛媛県内に在住の医師数を上回りました。卒業生の半数程度が現在でも愛媛県内に残り,地元の医療を支えていますので、愛媛県内の医師の半数程度は本学出身者ということになります。愛媛県の医療における愛媛大学医学部の責任は重大であると言えます。
本学部は、愛媛県の県庁所在地である松山市の中心部から電車やバスで30分ほどの、閑静な住宅街にあります。ここ東温市は「医療の町」とも呼ばれており、医療機関や医療従事者が非常に多い所です。その安心度の高さゆえ、東洋経済新報社の全国住みよさランキングでは常に愛媛県内トップに位置します。学生たちは、この都会の煩わしい雰囲気がない環境で、のびのびと勉学や課外活動に励んでいます。
学生教育においては、多様な資質や志向性に合わせた医療人の育成を目指しています。学部と大学院の10年一貫教育により研究医やアカデミックドクターの養成に努める一方で、医学部附属病院においては最先端医療を実践するとともに、愛媛県における地域医療の中核的役割を果たしています。
学生生活に関しては、敷地内に「あいレジデンス」という学生・研修医宿舎があり、ここに住めば通学時間は徒歩2分ほどですみます。敷地外にアパートを借りる学生もいますし、県庁所在地の松山市内に住んでそこから電車で通ってくる学生もいます。課外活動は盛んで、複数のサークルを掛け持ちしている学生も多いです。今年(平成29年度)は西日本医科学生総合体育大会で愛媛大学医学部が初の総合優勝をしました。教員の多数が本学の卒業生であることも手伝って、教員と学生との交流も盛んです。
学習環境は恵まれていると思います。図書館は朝8:40~夜22時まで開館しています。土日祝日は無人開館ですが、学習スペースを10時~17時まで使用できます。1年生から5年生の学生は、学習室を夜22時まで利用できます。6年生の学生には総合学習棟に7人一部屋程度の専用の学習スペースを用意しています。これは、国立大学では非常に珍しいものです。また地域医療支援センターには、高度な臨床技能の習得のための、最先端の臨床トレーニング施設が備わっています。
国家試験対策として、同窓会や後援会からの支援によって5年生と6年生に無料で模擬試験を受験させています。成績不良者に対しては、学力向上推進委員会や学生生活委員会による面談指導を行っています。
地域貢献に関しては,松山市,西予市,四国中央市,久万高原町,内子町,八幡浜市,愛南町等,愛媛県内各地に愛媛大学のサテライトセンターを設置し,そこで地域のニーズに即した医療を行うことにより,愛媛県内の地域医療の向上に貢献しています。また,県内各地の医療機関との連携の下,将来の地域医療に貢献できる人材の育成およびキャリア形成支援を積極的に推進しています。
研究面では、プロテオサイエンスセンターにおける無細胞タンパク質工学の技術を活用した再生医療やマラリアワクチン開発等の研究実績を生かし、感染症、がん、自己免疫疾患、生活習慣病などに関する先端的で特徴ある研究を推進しています。また附属病院内に設置した先端医療創生センターにおいて、基礎技術と先端医療との橋渡し研究にも力を入れています。

愛媛大学医学部

Q2.愛媛大学 医学部が育成したい医師像、そのための教育カリキュラムの特徴について教えて下さい。

カリキュラムで特徴的なのは、一年生で学ぶ基礎医学展望と医科学研究です。
基礎医学展望は、高等学校の知識と医学専門教育の橋渡しを行う科目です。我が校では生物学を選択せずとも入学が可能ですが、この科目により、高等学校で生物学を十分に学んでいなかった学生でも無理なく医学専門教育に入ることができるように配慮しています。学生投票により選ばれるベストティーチャー賞を10回以上受賞した数名の教員の協働により行われる講義です。他大学と比較して愛媛大学医学部の留年者数が少ないのは、この科目の存在によるところが大きいと思います。
医科学研究は、研究マインド(探究心)を持った医師を育成するための科目です。入学直後から全員を希望に沿った研究室に配属し、医学研究を体験させます。一年時は必修科目ですが、卒業まで選択できます。そのまま研究室で研究を続け、卒業までに学会発表はもちろんのこと、筆頭著者として英語論文を書いた学生も少なくありません。医師には探究心を持つことが必要であるというのが我が校のコンセンサスです。患者に接し、検査値や画像を見てデータを分析し診断にたどり着く「患者から学ぶ」能力に加え、得られた情報から新しい情報を導き、「患者に還元する」医療を学生にも求めています。
学部・大学院一貫教育として、3年生以降には、大学院の科目等履修生として大学院科目を先取りして履修することが可能です。これらの科目は大学院博士課程に進学後、正式に大学院の単位として認定されます。医学部での大学院科目の履修は将来博士号を取得する際の手助けとなります。医学部卒業後すぐに初期臨床研修を受けながら大学院博士課程に進学することも可能です。優秀な成績をあげると早期修了も適応されますので、最短で医学部卒業後3年で医学博士号を取得することも可能です。
地域医療教育に力を入れているのも特徴です。臨床実習は4年生12月から開始されますが、全科をローテーションで経験する前半の実習では、全員が地域医療寄附講座のサテライトセンターのある病院で地域医療実習を行います。また、後半の選択実習では、県内各所にある愛媛大学の連携病院で4週間から8週間の間、地域医療に関わる機会を持ちます。これらの実習では総合診療に加え、在宅医療や訪問診療にも参加し、地域医療への理解・意欲を深めます。
昨年より、従来は各臨床講座で個別に行っていた卒業試験を廃止し、総合試験と実技試験(アドバンスト・オスキー)による卒業判定を導入しました。卒業判定は、愛媛大学のディプロマ・ポリシーを満たすための審査ですが、国家試験を控えた6年生からは高評価を得ています。

愛媛大学医学部

Q3.ご自身が、医師を目指されたきっかけや受験勉強でのエピソード、人生のターニングポイントなどについて、お聞かせ下さい。

私は兵庫県の出身です。中学・高校は姫路市にある淳心学院という私立校に通いました。理数系の科目が好きで、その反面、文系の科目はからっきしでしたので、大学は理工学系の学部に進学するしかないと思っていました。実際、私が最初に進学した大学は東京大学の理学部化学科でした。卒業後、大阪大学医学部に編入学しました。進路変更をした理由は、理学部での研究は非常に基礎的ですぐに役立つようなものではありませんでしたので、より成果を実感できる医学に魅力を感じたためです。その一方で、最初にインプリンティングされたのが理学部の文化であったことは、今でも一生の宝のように大事にしています。
理学部で学んだ知識を役立てたい気持ちもあり、医学部に編入学した時から、将来は医学研究の道に進みたいと思っていました。医学部卒業後は内科の医局に入局しましたが、4年間研究生として老化に関する基礎研究を続けました。しかしなかなか成果が出ず、辛い思いもしました。その後縁があって、米国デューク大学医療センターに留学する機会を得ました。ここで、アルツハイマー病の分子細胞生物学的な研究に従事しました。研究環境は素晴らしく、研究以外の雑用はないので、朝早くから夕方まで研究に没頭しました。そこにはいろんな国からの留学生が来ていましたが、そういった仲間や上司と良好な交流関係を築けたことも良い思い出です。彼らとは今でも交流があります。彼らに日本国内で出会っていたら、そのような出身国を超えた人間関係の構築は難しかったであろうと思います。
日本に帰国後、留学中に書いた論文で論文博士号を取得しました。また留学を契機として、大阪大学に戻ってからは基礎医学講座に所属しました。その後、平成12年に愛媛大学医学部に助教授として迎えていただきました。

Q4.最後に、愛媛大学 医学部を目指す受験生に求める心構え、メッセージをお願い致します。

医療ほど、直接多くの人間を救うことができる仕事はありません。私は、医療は究極のサービス業だと思っています。将来、「病気で苦しんでいる患者さんを救ってあげたい」、「患者さんやご家族に喜んでもらいたい」といった夢を持っている人は、ぜひ医学部への進学を考えてみてください。
愛媛大学医学部では、その基本理念である「患者から学び,患者に還元する教育・研究・医療」の実現のための人材育成を目指しています。患者から学ぶ真摯な態度と教育・研究・医療の成果を患者に還元する優れた能力を併せ持った卒業生を出来るだけ多く輩出することが我々の目標です。是非、私たちと共に医学を学ぼうではありませんか。愛媛大学医学部は、夢の実現を全力で支援します。

関連リンク 愛媛大学ホームページ

みつだのりあき
満田憲昭先生 略歴

現在
愛媛大学大学院医学系研究科教授(循環生理学講座)
愛媛大学大学院医学系研究科長・医学部長

学歴
昭和59年 3月 東京大学理学部 卒業
平成 2年 3月 大阪大学医学部 卒業
平成 3年 2月~平成 7年 5月 大阪大学医学部研究生
平成10年 1月~平成11年 5月 大阪大学医学部研究生

職歴
平成 2年 7月 大阪大学医学部附属病院 医員(研修医)
平成 3年 1月~平成 4年12月 友紘会総合病院 内科
平成 7年 6月~平成 9年11月 米国デューク大学医療センター リサーチアソシエイト
平成11年 6月 大阪大学大学院医学系研究科 助手
平成12年12月 愛媛大学医学部 助教授
平成17年 7月 愛媛大学医学部 教授
平成18年 4月 愛媛大学大学院医学系研究科 教授
平成18年 4月~平成22年 3月 愛媛大学総合科学研究支援センター 副センター長(兼務)
平成23年 4月~平成27年 3月 愛媛大学大学院医学系研究科 副研究科長・医学専攻長
平成27年 4月~ 愛媛大学大学院医学系研究科長

資格等
医師免許(平成 2年3月)
医学博士(平成10年5月)
 産業医(平成17年5月)

所属学会
日本生理学会,日本内科学会,日本老年医学会,日本神経科学学会