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徳島大学医学部長 丹黒章先生

医学部進路の決め方

Q1.徳島大学医学部の特徴についてお聞かせください。

徳島大学医学部は昭和18年に設立された徳島県立徳島医学専門学校を起源としており、来年で設立75周年となります。四国に設置された初めての医学部であり、四国全体の医学、医療を担ってきた歴史と伝統があります。医学部の設立時には徳島市民病院を附属病院として医学部が整備された歴史があります。今も連絡橋で繋がった県立中央病院と総合メデイカルゾーンを形成し、患者のための医療を重視し、優れた臨床医の育成を行っています。
徳島大学医学部の大きな特徴は、医学部の中に研究所が設置されていることで、昭和36年に設立された徳島大学医学部附属酵素学研究所(酵素研)は代謝・栄養やがんにかかわる多くの研究者を輩出しました。その基礎となる生化学は徳島大学医学部の最も大きな特徴であり、私が学生だった頃も5人の国際的に高名な教授から熱のこもった生化学の講義を受けました。昭和39年には栄養学科が設置されました。これは日本で唯一の医科栄養学科です。今でこそ健康寿命という概念が普及し、栄養の大切さが見直され、がんの治療などにもその知見が生かされていますが、徳島大学では昭和30年代から栄養や酵素に着目して盛んに研究が行われ、現在でも、免疫やゲノム、酵素に関する様々な最先端研究を行っています。
他学部との共同研究も盛んに行われています。同じキャンパス内に歯学部や薬学部がありますし、工学部のキャンパスも比較的近くにあるため、医工連携などを通して交流が盛んです。医学部、薬学部、歯学部の連携は緊密であり、近年までは教授会を合同で行っていました。現在も、医歯薬学研究部という大きな組織を設けて、3学部で意見を出し合いながら共同研究などを行っています。学生の講義においても、学部の垣根を超えたチーム医療演習や共同授業、実習もあり、クラブ活動を通しても学部間の交流が盛んに行われています。
四国の他大学の医学部との連携や交流も行っています。愛媛大学と共同でモンゴル国立医科大学と積極的な医療教育支援を行っているほか、四国四大学の医学部長、病院長が年に一度集まって話し合う機会を設けています。四国の大学同士では、研究室単位の研究協力も積極的に行われています。また、岡山大学が主管しているがんプロフェッショナル養成プログラムに四国の四大学も参加しています。これは中四国の11大学と40のがん拠点病院がコンソーシアムを形成し、協働してがんの専門医療人を大学院教育で育成するプログラムです。がん専門薬剤師、がん専門看護師、がん専門管理栄養士、放射線物理士のほか、がん薬物療法専門医や放射線治療医、外科関連専門医などの資格と同時に学位を両立して取得できる教育システムです。専門医を取得することが当たり前になるなか、効率よく学位も取得できる点が魅力です。研究面でも、コンソーシアム全体でデータを共有し、共有したビッグデータをうまく活用することで、ゲノム解析などに役立てていきたいと考えています。

徳島大学医学部

Q2.徳島大学医学部の教育に関する特徴をお聞かせください。

徳島大学医学部の教育に関する特徴は、研究医の養成に力を入れている点です。医学科の学生は三年生の時に9ヶ月間研究室に所属し、研究に親しみます。この期間は講義を午前中までとし、午後からは研究室で研究を行います。全国の他の大学と比べて、9ヶ月間という長い期間をかけて研究指導を行っている点が大きな特徴です。学生のためにスチューデントラボを設けており、学生が主体となって様々な実験を行うこともできる環境を整えています。徳島大学医学部の生化学研究の伝統から、今でも若手研究医を育てようという雰囲気があります。学部在学中に大学院に進学するMDPh.Dコースにも入学者が毎年あり、女性研究者も大勢活躍しています。若手の研究者を育てるためには、研究の面白さを伝えると同時に、才能を早くから見出してあげることが重要だと思います。オープンキャンパスなどで、高校生に実際に実験をさせてみると、非常に強い興味を示してくれます。学生が身近に一流の研究者と触れ合うことのできる環境を作り、直接、研究のやりがいや魅力を伝えることができる機会を数多く持たせてあげたいと考えています。
国際基準を満たす医学教育分野別認証への対応を踏まえ、アクティブラーニングが中心のチュートリアル教育が盛んに行われるようになりました。学生が覚えなければならないことは以前よりも格段に増えており、学生がじっくりと原著に当たって勉強する時間が少なくなってしまっていることを危惧しています。学生の発表などを聞いていても、インターネットで調べたことのみで発表を行う学生もおり、物足りなさを感じることもあるのが現状です。たくさんの知識を身につけることを目指すと同時に、学問について深く考え、正面から医学と向き合う姿勢を教育していきたいと思います。

徳島大学医学部

Q3.先生ご自身のこともお聞かせください。

私は山口県宇部市の出身です。中学・高校では部活動に大変熱心に取り組んでいました。バレーボール部に所属して、部活動が中心の生活でしたが、教室では志願して一番前の席に座り、寝ないようにして勉強していました。私が通った宇部高校は伝統のある学校で、医師になった同級生も多くいます。私も医師を目指して受験しましたが、部活に一生懸命だったこともあり、一年目はうまくいかず、一年間浪人することになりました。当時は高校が受験のために授業の進度を早めるようなこともなく、うまく受験対策もできないまま受験に臨むような状態でした。浪人時代は四谷の駿台予備校に通いました。駿台で一年間勉強し、徳島大学医学部に合格して、入学しました。大学時代は自動車部に所属したり、空手部を創設したりと、充実した学生生活であったと思います。
大学卒業後は病理医になろうと考え、故郷の山口大学に戻ったのですが、知り合いの産婦人科の教授に誘われ、半ば強引に外科に入局しました。しかし、外科では最初の教授から食道について学ぶことができ、二人目の教授からは膵臓について学ぶことができました。良い出会いに恵まれ、医師として大きく成長できたことは、非常に幸運だったと思っています。その後は、念願であった留学を経験しました。アメリカ、アーカンソー州では様々な研究手法や最先端の臨床医療について学ぶことができ、アメリカにおいても尊敬できる師に出会うことができました。素晴らしい先生の生き方や考え方などに触れ、自分を大きく成長させることができたと思います。帰国後は、古巣の徳島大学から教授選考に出てみないかとお誘いをいただくことができ、選考の結果、徳島大学に赴任しました。

徳島大学医学部

Q4.徳島大学医学部を目指す受験生にメッセージをお願いいたします。

徳島大学医学部の良いところは都会にない人との交流があり、物価も安く、過ごしやすい点だと思います。医学の基本は人と人とのコミュニケーションであり、成績が良くても人が好きでなければ医療を行うことはできません。人と接すること、人のためになることが好きな人に是非入学してきてほしいと考えています。限界を自分で作ることなく、何事にもチャレンジするような気概のある諸君らが受験してくれるのを楽しみにしています。

関連リンク 徳島大学ホームページ

たんごくあきら
丹黒 章先生 略歴

現職
徳島大学医学部長、徳島大学大学院医歯薬学研究部教授
(胸部・内分泌・腫瘍外科学分野)

学歴
昭和56年3月 徳島大学医学部卒業

学位
医学博士(昭和62年3月山口大学)

資格
医籍登録(昭和56年5月)

職 歴
昭和56年 6月 山口大学医学部附属病院 医員(研修医)
昭和56年12月 宇部興産中央病院医師
昭和57年 6月 山口大学医学部附属病院 医員(研修医)
昭和61年 6月 山口大学医学部附属病院 医員
昭和61年12月 山口大学医学部 助手
平成 1年 5月 米国アーカンソー大学 研究員
平成 3年 4月 山口大学医学部 助手
平成 8年10月 山口大学医学部 講師
平成10年 3月 山口大学医学部 助教授
平成16年12月 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 教授
平成23年 4月 徳島大学医学部 医学科長(平成25年3月まで併任)
平成24年 4月 徳島大学病院 副病院長(平成28年3月まで併任)
平成25年 4月 徳島大学医学部 医学部長補佐(併任)
平成27年 4月 徳島大学大学院医歯薬学研究部 教授
平成28年 4月 徳島大学AWAサポートセンター 副センター長(併任)
平成29年 4月 徳島大学医学部長(併任)
現在に至る

専門
胸部外科学(食道外科、乳腺・甲状腺外科)