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順天堂大学大学院医学研究科長・医学部長 服部信孝先生

医学部進路の決め方

Q1.順天堂大学の良い点を教えてください。

順天堂大学医学部では、1年次は千葉県のさくらキャンパスにある「啓心寮」で寮生活を送ります。さくらキャンパスにはスポーツ健康科学部があり、寮では医学部の学生とスポーツ健康科学部の学生が同じ部屋になります。オリンピックなどの国際大会に出場し活躍する選手や箱根駅伝のランナーなど、普通の学生生活では出会うことができないような同級生から刺激を受けられることも、本学医学部の非常に良い点と言えるでしょう。啓心寮では、寮生の一人一人が自由に振る舞いながらも、他人に迷惑をかけない行動ができるようになることを教育の目標としています。
そして、1年次の終盤からは本郷・お茶の水キャンパスに移り、医学専門教育が行われます。キャンパスのある文京区本郷(お茶の水)は東京の中心部に位置しており、地理的にも恵まれた環境です。伝統のある学問の街でもあることから、文化的な刺激も大いに受けることができるでしょう。教育棟であるセンチュリータワーには最先端の教室が完備されおり、ICTを活用した授業が行われています。
また、順天堂大学医学部には6つの附属病院があり、総病床数は3,424床と日本最大規模を誇ります。先進医療、地域医療、救急医療、周産期医療、高齢者医療、精神医療、がん治療など、幅広い医療ニーズに対応できる高い専門性と総合力が強みです。お茶の水にある順天堂医院は、1日の外来者数が4000名から5000名と、大変多くの患者さんに利用されています。多くの方から信頼されている医学部附属病院での臨床実習を通して様々な症例を学ぶことができることも、本学医学部の大きな魅力の一つです。

昨今の医学部人気もあって、入試の難易度や倍率は上昇していますが、その中にあって順天堂大学医学部は学費の値下げや多様な入試制度により、医学部へ情熱をもって臨む受験生のニーズに応えてきていると思います。
入試制度に関しては、一般A方式・B方式、前期・後期センター利用、センター・一般独自併用があり、さらに地域枠選抜(東京都、新潟県、千葉県、埼玉県、静岡県)、国際臨床医・研究医枠があります。国際臨床医・研究医枠入学試験は、国際社会で幅広く活躍する医師を目指す方を対象とした入学試験であり、特別入試(AO)、国際バカロレア入試(AO)、帰国生入試、外国人入試を実施しています。いずれの入試においても医師としての適性等を重視しています。2021年度以降の導入が予定されている大学入学共通テストへの対応も予定しており、大学入試センター試験に関しては、大学入学共通テストに移行される予定です。

近年の医学の進歩は目覚ましく、医学部の学生が修得しなくてはならない知識・技能は膨大なものです。そのため、限られた授業時間のなかで充分な学習効果を上げるためには、学生一人一人の「学び」に対するactiveな姿勢が重要になってきます。医学部の6年間では、将来自分が医師や研究者として活躍するために必要な知識・技能・態度を勉強することになりますが、この「学び」に対するactiveな姿勢は、実は医学部卒業後も生涯を通じて保持し続けることが求められます。医学部教育において最も大切なことは、受動的に知識を取得するのではなく、自ら学び、考え、問題を解決する能力を育成することです。皆さんには自ら学習する習慣(passiveなものからactiveなものへ)を培ってもらいたいと思います。
順天堂大学医学部へ入試を乗り越えて入学した学生にとって、伸び伸びとした校風による自立した学習風土は大いに役立つと思っています。また、教員と学生の距離が近いのも特長で、そこでの学びを通して医学部の学生たちは、医師として歩んでいくためのあらゆる機会を得られるはずです。医師国家試験の合格率が20年間一定して高水準を確保しているのも、自ら学び自ら律する自由な校風と大学の面倒見の良さがあるためだと考えています。

順天堂大学

本郷・お茶の水キャンパス(2020年完成予想図)

Q2.ご自身が、医師を目指されたきっかけや受験勉強でのエピソード、人生のターニングポイントなどについて、お聞かせ下さい。

私の父は会社員だったので、医療とは無縁の環境で育ってきました。人とかかわるのが好きなので、中学生頃までは「弁護士もいいかな」などと考えていましたが、高校の時に地元の名画座で黒澤明監督の映画「赤ひげ」を見たことがきっかけで、医師を目指そうと思いました。地元が長野でのんびりしていたこともあって、1年だけ浪人しています。受験勉強をしていた時は、どんな問題が来ても対応できるように心掛けていました。どちらかというと、勉強についてはオールラウンドなタイプだったと思います。当時は共通1次試験が日本で初めて導入された年でしたから、変化があって面白いタイミングだったことを記憶しています。周囲の勉強仲間たちの中にも将来の目標を定めていた者がいて、政治家になるとか芸術を目指すとか宣言していたのを見て、刺激を受けました。そして受験勉強の結果、縁あって順天堂大学医学部の門を叩くことになったのです。入学後は循環器、精神科、神経内科、血液内科のどれかを専門にしようと考えていましたが、最終的に神経内科に進んだのは、パーキンソン病研究の権威として知られる楢林博太郎教授(当時)の影響でした。その後、徹底したサイエンスでパーキンソン病の治療をする水野美邦教授(当時)の姿勢からも影響を受けて、私自身も神経内科でパーキンソン病の治療・研究に邁進しました。神経学講座3代目の教授となった今は、後進の育成に注力しています。講座では自分自身もスタッフとして一緒に働く中でアドバイスすることを心掛けていますが、私自身は研究や治療など、仕事について常に考えながら過ごしています。どのようにリフレッシュするのかとよくたずねられるのですが、「リフレッシュする」という意識なく、仕事をし続けている感じかもしれません。

Q3.最後に、順天堂大学 医学部を目指す受験生に求める心構え、メッセージをお願い致します。

パスツールが「幸運は用意された心のみに宿る」と言っていますが、「セレンディピティ(serendipity: 思わぬものを偶然、幸運によって発見する力)」とはそういうことだと思います。目の前の患者さんを診察する時にも、常にこれは何だろうと考えてみることが大事です。今行っている受験勉強をはじめ、自分の直面している課題に対して「こんなものつまらない」と考えるのではなく、5年後、10年後に自らの役に立つのではないかと考えてみてください。目の前のことだけではなく将来に対する準備を常に心掛けておくことは、医師にとって、とても大切なことだと思います。

関連リンク 順天堂大学ホームページ

はっとりのぶたか
服部信孝先生 略歴

学歴・履歴
1979年 4月 順天堂大学医学部 入学
1985年 3月 順天堂大学医学部 卒業
1990年 4月 順天堂大学医学部大学院医学研究科 神経学 (博士課程)入学
1990年 8月 名古屋大学医学部生化学第二 国内留学(1993年5月まで)
1994年 3月 順天堂大学医学部大学院医学研究科神経学 (博士課程)卒業
1985年 5月 順天堂大学医学部付属順天堂医院脳神経内科 臨床研修医及び専攻生
1994年10月 東京都立荏原病院神経内科 非常勤医員
1995年 4月 順天堂大学医学部神経学講座 助手
1999年 7月 順天堂大学医学部神経学講座 臨床講師
2000年 8月 順天堂大学医学部老人性疾患病態治療研究センター 専任講師
2000年 9月 順天堂大学医学部神経学講座 講師併任
2001年 5月 順天堂大学医学部神経学講座 専任講師
2003年 5月 順天堂大学老研センター・神経学講座 助教授
2006年 7月 順天堂大学医学部神経学講座 教授
2011年 4月 埼玉医科大学医学部 非常勤講師(生理学)
2011年 4月 明治薬科大学大学院薬学研究科生命創薬科学専攻博士課程(前期)客員教授
2011年 7月 東京医科大学 客員教授
2014年10月 滋賀医科大学 客員教授
2015年 4月 独立行政法人 日本学術振興会 学術システム研究センター 専門研究員
2015年 4月 新潟薬科大学 客員教授
2017年 4月 放送大学客員教授
2017年 7月 東京都難病相談・支援センター センター長(2019年3月まで)
2017年 8月 日本医療研究開発機構 課題評価委員
2018年 8月 藤田保健衛生大学医学部 客員教授
2019年 4月 順天堂大学大学院医学研究科長・医学部長

学会活動
・日本神経学会(理事;平成24年~30、評議員平成30年~)
・日本パーキンソン病運動障害疾患学会(代表理事;令和1年7月~)
・日本ミトコンドリア学会(理事;平成23年~)
・日本内科学会(評議員;平成27年~)
・日本在宅医学会(理事;平成24年~29)
・日本神経治療学会(理事;平成26年~)
・日本認知症学会(評議員;平成27年~)
・日本神経精神薬理学会(評議員;平成28年~30、理事;平成30年~)
・日本神経感染症学会(評議員;平成29年4月~)
・日本アフェレシス学会
・日本神経科学学会
・日本生化学会
・日本分子生物学会
・日本神経病理学会
・日本めまい平衡医学会
・日本リハビリテーション医学会
・International Parkinson and Movement Disorder Society(MDS): Movement Disorders Society Asian & Oceanian Section (Past Chair, 2017-2019)
・American Neurological Association (Corresponding fellow;2003年10月~)

社会活動
全国パーキンソン病友の会(患者会)顧問

受賞歴等
2001年 順天堂大学同窓会学術奨励賞
2001年 財団法人長寿科学振興財団理事長奨励賞
2001年 第42回日本神経学会総会会長賞(金澤一郎会長)
2002年 第39回ベルツ賞1等賞(テーマ:神経変性疾患の分子機構)
2003年 日本神経学会賞
2004年 トムソンサイエンティフィック社Research Fronts Award受賞(13部門16人)
2005年 ESIの高被引用回数(1996年~2006年)で、パーキンソン病部門第7位にランク
(研究所および大学としては世界第7位に順天堂大学はランクされている)
2012年 文部科学大臣賞 科学技術賞 研究部門
2017年2月 日本神経学会楢林賞受賞
2017年3月 スペイン神経学会名誉会員